千葉県はDSEI JAPAN 国際武器見本市に県有施設幕張メッセを使わせてはならない!

12月23日に千葉県当局・熊谷知事に対して「国際武器見本市に協力するな」「幕張メッセを武器見本市の会場に貸出すな」との要請を行いました。論点は、大きく言って以下の4点に整理されます。

①国際武器見本市に県有施設である幕張メッセを貸し出すことは是か非かという問題。県当局は、法令に違反していない以上貸し出さざるを得ないと主張。私たちは、幕張メッセを武器の展示場として貸し出すことは、自動車や家電や福祉機器の展示、音楽演奏会に貸出すのとはわけが違う。どんな意味でも県民の福祉や文化の向上に資するものではない。そもそも武器・兵器は命を奪うものであって、命を助けるものではない。従って、幕張メッセの設置管理条例が謳う「公の秩序や善良の風俗を害する恐れ」にあたるのは明白だ等々と主張。

②展示される武器についての評価をめぐる問題。県当局は展示されるのはあくまで自衛隊法や防衛装備移転三原則が規定する「防衛装備」であり、法令の範囲内のものなので、問題なしと主張。私たちは、実際に展示されているものは戦車、ミサイル、戦闘機、無人攻撃機、砲弾、軍事用電子機器等々で、しかもその多くは明らかに攻撃的な殺傷兵器であり、施設の設置管理条例に照らしてふさわしいかどうかのレベルを超えた問題。こうした兵器・武器を展示することは日本国憲法の平和主義や戦争放棄、非核平和千葉宣言、武力に拠らずに平和を追求するという精神に著しく反する言語道断な行為だと主張。

③国際武器見本市が日本国内、市民社会のど真ん中で公然と宣伝され、開催されることの社会的な意味、国際的な意味をめぐる問題。県当局は、こうした問題については全く何にも考えていない様子。私たちは、この国際武器見本市の開催を許すことは、自衛隊法や防衛装備移転三原則などという国内法を大きく踏み超える危険な行為だと主張。

 なぜかと言えば、そこでは日本以外の国(例えば米・英・イスラエル等々)の軍需企業と日本以外の国(例えばフィリピン・インドネシア等々)の政府や軍部との商談が行われるのであり、後日関係国間で受け渡された武器が実際に使用される可能性が出てくる。そうなった場合、防衛装備移転三原則の運用のように日本の国会で是非を問題にすることも出来ず、第三国間の取引として野放し状態になる。そういう国際武器取引のプラットフォームが日本国内に公然と立ち現れ、それに国民は何の関与も出来ないという事態が生じうる。

  そういう世界に、いま日本が、千葉県が乗り出そうとし、幕張メッセという県民施設が利用されようとしている恐ろしさ、おぞましさを認識する必要があると主張。

④最後に付け加えれば、ご本家の英国において隔年で開かれているDSEI・国際武器見本市は、英国内では紛争被害者のアジア・中東・アフリカ系の移民も含む市民の反対運動が激しくて開催が困難になっている。そんな中、アジア太平洋地域の軍事情勢が怪しくなり、同時にアジア各国もかつてよりも経済力をつけて武器購入意欲を高め、軍拡熱が広がっている。要するにアジア太平洋地域は国際軍需資本にとって格好の成長マーケットとして登場しつつある。そこに狙いをつけて、DSEIが満を持して日本に乗り込んできて、日本を拠点に国際武器ビジネスを今まで以上に活発化させようとしているのだということ。こうした動きをしっかりと認識する必要があることを改めて確認させられた、県当局への要請行動でした。

■千葉県に対し幕張メッセで開催される「武器見本市」への協力中止を求める要請書

千葉県知事 熊谷俊人様

千葉県千葉市の幕張メッセでは、2017年に1回、2019年に2回の計3回、武器の見本市が開催されてきました。2022年1月に開催が予定されていた国際武器見本市DSEI JAPAN(ディーセイ ジャパン)は、コロナ感染症の余波で延期を決定しましたが、開催計画は断念していません。

周知のように、DSEI JAPANは毎年英国で開催されている武器見本市のアジア版です。HPには「日本で開催される唯一の大規模で完全に統合された防衛イベントであり、日本およびより広いアジア太平洋市場への前例のないレベルのアクセスを提供する」と書かれています。ここには世界中の兵器産業、国家の軍関係省庁や政府関係者が集結し、兵器の宣伝、情報交換、品定め、売買契約などが行われます。そればかりではなく、日本の防衛省や軍需企業などから、軍事的緊張感を煽り、軍事同盟や軍備増強の必要を強調する講演、メディアや国民向けのアピール活動などが行われます。

10月に行った私たちの要請に対して県当局は、法に触れない催しであれば会場の貸与は認めざるを得ないと答えました。しかし、国際武器見本市の開催は本当に法の精神や理念に反していないでしょうか。わが日本国憲法は「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」「国の交戦権は、これを認めない」と述べて明確に戦争は違憲だと断じています。事実日本国民はそのように行動し、そのことによって世界平和に貢献してきたと自負します。

2014年に「武器輸出禁止三原則」が多くの国民の反対の声を踏みにじって「防衛装備移転三原則」に変えられ、武器の輸出や共同開発に道が開かれてしまったことは事実です。しかし、千葉県議会が憲法の精神に則って決議した非核平和千葉県宣言は「国際社会の理性を信頼し全世界の協力により、戦争という手段によらずに紛争を解決する道を追求する」ときっぱりと宣言しています。県民の総意である非核平和千葉宣言に従って県政を執行しなければならない県当局が、国際武器見本市に公共施設は貸さないとの姿勢を示すのは、むしろ当然の責務というべきです。

DSEI JAPANの主催者は、最新の武器が売買されることは各国の防衛力を高めて「国際社会の平和」に貢献すると強弁しています。また武器の開発・生産・輸出が盛んになることは防衛コストを下げることに貢献し、国の負担を軽くするものだとさえ言います。しかし、DSEIのご本家である英国では、これらの武器が用いられた紛争や戦争によって家族を失い母国を離れざるを得なかった人々をはじめとする多くの市民が、この武器見本市の本質を「死の見本市」だと見抜き、「かつて武器は戦争を戦うために大量生産された、いまは武器を売るために戦争が量産されている」と厳しく批判しています。これは単なる警句以上の内容、兵器産業が現代の世界の中で演じている、戦争の発生源としての危険極まりない役割についての真実を語る言葉です。

私たち千葉県民は、世界の各地で多くの子どもや女性を含む多くの人々を殺傷し、民衆を大量虐殺している兵器を展示し売買する行為が、平和的な文化行事などのために設置された公共施設である幕張メッセで、白昼公然と開催されるおぞましい行為を断じて認めることは出来ません。

以上の理由から、以下のことを強く要請するとともに、速やかに回答されることを求めます。

            記

1.武器見本市「DSEIJapan」に対し、公共施設である幕張メッセの貸し出しを許可しないでください。

2.兵器・武器の使用だけでなく、その生産・販売・輸出がもたらす非人道的結果について、県民に啓発する事業を開始して下さい。

3.千葉県内において兵器・武器に関連した物品の製造やサービスの提供を行っている事業者の実態を調査し、県民に公表して下さい。

4.千葉県議会の「非核平和千葉宣言」や県内各市町村の「非核平和都市宣言」に則った平和施策を、教育の場をはじめの県政の各分野で積極的に推進して下さい。

以上

2021年12月23日

市民ネットワーク千葉県 千葉県議会議員 伊藤とし子

緑の党グリーンズジャパン千葉県本部共同代表 会津 素子

新社会党千葉県本部 委員長 宮川 敏一

社会民主党千葉県連合 代 表 工藤 鈴子

関連記事

 

 

ページ上部へ戻る